手前味噌とはなにか
「手前味噌」という言葉は、自分で作った味噌を自慢することから
転じて「自己称賛」の意味で使われるようになった言葉です。
それほど昔の人々は手作り味噌に誇りを持っていたのです。
江戸時代には多くの農家が自家製味噌を作っており、
地域によって麹の種類や塩分量が異なる、
家ごとに異なる「うちの味噌」がありました。
今では手軽に市販の味噌が買えますが、
自分で仕込んだ味噌のおいしさは格別です。
半年間、毎月様子を見ながら発酵を見守る時間も、
手前味噌作りの醍醐味の一つです。
仕込みに適した時期
味噌の仕込みは「寒仕込み」と呼ばれる
1〜2月が最適とされています。
理由は二つあります。
一つは気温が低いため雑菌が繁殖しにくく、
安全に発酵が進むこと。
もう一つは冬から春・夏と気温が徐々に上がることで
発酵がゆっくりと進み、複雑な旨みが生まれることです。
寒仕込みをすると、夏を越えた秋ごろ(8〜10月)に
食べ頃の味噌が完成します。
材料と分量(仕上がり約2kg)
- 大豆(乾燥) 500g
- 米麹(生麹または乾燥麹) 500g
- 塩 250g(麹と大豆合計量の約13%)
塩の割合は仕上がりの辛さに直結します。
13%は標準的な塩分量です。
辛めが好みなら14〜15%、甘口なら11〜12%に調整してください。
仕込みの手順
1. 大豆を水に浸す(前日)
大豆を洗ってたっぷりの水に一晩(12〜18時間)浸します。
大豆は吸水して倍以上に膨らみます。
2. 大豆を煮る
浸水した大豆を新しい水で3〜5時間煮ます。
圧力鍋なら20〜30分で仕上がります。
指で簡単につぶれる柔らかさになったら完成です。
このとき出る煮汁は「種水(たねみず)」として後で使います。
3. 大豆をつぶす
熱いうちに大豆をつぶします。
フードプロセッサー・マッシャー・ビニール袋で踏む方法など
どれでもOKです。滑らかになるほど仕上がりの質感がよくなります。
4. 麹と塩を混ぜる
米麹と塩をよく混ぜ合わせます(「塩切り麹」を作る)。
ダマがないよう、手でしっかりとほぐしながら均一に混ぜましょう。
5. 大豆と塩切り麹を合わせる
つぶした大豆が40℃以下に冷めたら、
塩切り麹と合わせてよくこねます。
硬い場合は種水を少しずつ加えて調整します。
耳たぶくらいの柔らかさが目安です。
6. 仕込み容器に詰める
煮沸消毒した容器に、空気を抜きながらみそ玉を詰めます。
ハンバーグくらいの大きさのボール状に丸めて
投げ込むように詰めると、空気が入りにくくなります。
表面を平らにならし、ラップを密着させて空気を遮断します。
重石をのせて冷暗所で保管します。
7. 天地返し(省略可)
仕込みから3〜4ヶ月後、上下をひっくり返す「天地返し」をすると
発酵が均一になります。
省略しても問題ありませんが、行うとより均一な仕上がりになります。
完成のサインと食べ頃
仕込みから6〜8ヶ月後、表面や内部が赤褐色に変わり、
味噌らしい香りが立ってきたら食べ頃です。
少量取り出して味見し、自分の好みの風味になっていれば
完成です。そのまま冷蔵庫に移せば発酵が落ち着きます。
手前味噌を毎日の台所に
自分で作った味噌でお味噌汁を作る朝は、
何かが違います。
その味噌に費やした時間と手間が、
一杯のお味噌汁を特別なものにしてくれます。
来年の冬、ぜひ一度仕込んでみてください。